医療
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神経難病の在宅医療に係わる国立病院の現状と役割
阿部 憲男
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2003 年 57 巻 8 号 p. 498-502

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抄録
筋萎縮性側索硬化症で代表される神経難病患者は, 長いこと病院での長期療養を主体に行ってきた. しかし, 最近は生活のQOLの向上を図るということを重視して, 在宅療養を選択することが多くなってきた. 神経難病の在宅医療に係わる国立病院・療養所の現状と役割について, 神経・筋疾患政策医療ネットワーク関連施設および開業神経内科医へのアンケート調査, 国立療養所岩手病院における神経難病の在宅医療の実践および患者・家族の希望を通して検討した. 国立病院・療養所のいくつかは, 在宅医療支援のための委員会を設置し, 訪問診療を行っていた. 開業神経内科医が近隣の国立病院・療養所へ期待することは, 入院患者の受け入れ, 医学情報の提供, 学術交流, 在宅医療相談, 症例検討会の実施などであった. 患者・家族も必要なときには入院できる体制の確立を望んでいた. 在宅医療を支援するに当たっては患者の緊急時に24時間対応ができる体制の確立が最も重要であり, それには国立病院・療養所と開業神経内科医およびかかりつけ医との密接な連携が必須である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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