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高齢者肺結核入院症例の臨床的検討
高原 誠
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2004 年 58 巻 1 号 p. 13-16

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抄録
65歳以上の年齢層は, 現在の日本の肺結核患者の主たる部分を占め, その臨床的特徴を明らかにすることを目的とした. 対象は平成11年-12年の2年間に国立療養所西甲府病院結核病棟に入院した108例の結核患者の内65歳以上の60例(高齢者群)で, 残りの64歳以下の48例を対照群とし, 両群の臨床的特徴を比較検討した. 全身状態は高齢者群でPS(performance status)が有意に高値を示し, 血清アルブミン値は対照群が高い傾向を示したが有意差を認めなかった. 合併症を有する頻度は高齢者群が有意に高く, 高血圧, 腹部手術後, 悪性腫瘍, 脳血管障害は高齢者群の方が多かったが, 糖尿病は対照群の方が多く, 肝疾患は差を認めなかった. 生活歴では, 1人暮らし, 不規則な生活, 周囲に結核患者のいる割合は対照群が有意に高かった. 副作用のため薬剤を変更する比率は高齢者群で高かったが, 標準治療が可能な率には差を認めず, 予後もほぼ同様であった.
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© 一般社団法人国立医療学会
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