医療
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結核の分子疫学
藤兼 俊明
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キーワード: 結核, 分子疫学, RFLP解析
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2004 年 58 巻 7 号 p. 394-398

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抄録

結核菌ゲノム中にランダムに挿入されている挿入配列IS 6110をプローブとした結核菌群の遺伝子タイピング法(restriction fragment length polymorphisum解析)が効果的な結核対策のために用いられている. 本法の応用としては, 菌株の異同からみた集団感染への対応, 検査でのcross contaminationの評価, 再発か再感染かの評価, 地域での蔓延状況の評価, などが挙げられる. 同一バンドパターンを示す集団に属する比率(クラスター形成率)は地域の結核蔓延度の指標とされ, 高蔓延国では約50%前後, 低蔓延国では約20%前後, と報告されている. 日本では, 7.7%から32%, と地域により違いが報告されている. また, 日本では, 比較的類似性の高いバンドパターンを示すグループの存在が報告されている. これらは, 過去の高い罹患率時代に感染した高齢者の患者が多い日本の結核の疫学的特徴を反映していると考えられる.

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