抄録
多血症をきたしたエリスロポエチン産生肝細胞癌の1例を経験したので報告する. 症例は73歳の男性で, 上腹部腫瘤を主訴に来院した. 血液検査で赤血球677万/mm3, Hb 19.8g/dlと多血症を認め, 血清エリスロポエチン値は123(正常値: 8-36) mU/mlと高値であった. 画像診断では, 肝左葉に直径10cm大の腫瘍を認め, エリスロポエチン産生肝細胞癌と診断した. 肝左葉切除術後, エリスロポエチン値は正常値となり, 多血症は改善した. 術後10ヵ月で残肝再発のため死亡した.