医療
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国立病院機構における筋ジストロフィー医療の現状
多田羅 勝義福永 秀敏川井 充
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2006 年 60 巻 2 号 p. 112-118

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抄録

全国27施設の筋ジストロフィー病棟入院患者および在宅人工呼吸例のデータについて, 1999年から毎年1回実態調査をおこなってきた. その結果, 毎年2,000名以上の患者が入院していることが判明した. 各調査年度とも最も多い型はDuchenne型, 次いで筋強直性であったが, 2004年度調査ではおのおの817名, 387名であった. 入院患者のうち約20%が筋ジストロフィー以外の疾患であった. 入院患者中人工呼吸実施者は, 1999年度には810名(38%)であったが, 2004年度には1,081名(50%)と, 毎年増加傾向にあった. Duchenne型に限ると, その増加はさらに著しく, 1999年度の59%から2004年度には75%に達していた. 在宅人工呼吸例も年々増加しており, 2004年度には481例であった. 栄養方法をみると80%の患者で経口栄養が続けられていた. ただし今回の調査結果からは, 栄養学的に充分であるか否かの評価はできなかった. Duchenne型の死亡例は195例(2000-2004年)であったが, 最も多い死因は心不全, 次いで呼吸不全であった. また死亡時年齢は27.5±6.3歳(M±SD)であった. 筋強直性の死因においては, 呼吸不全, 呼吸器感染症が目立った. 施設により, 入院患者におけるDuchenne型, 筋強直性の比率が著しく異なっていた.

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© 一般社団法人国立医療学会
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