医療
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脳血管障害による音声障害に対するロンバール効果を用いた新しいアプローチ
―ウエイトノイズ法について―
高橋 信雄佐々木 結花高野 智恵子久永 欣哉佐藤 智彦木村 格
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2006 年 60 巻 5 号 p. 298-304

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抄録
筆者らの提案による新しい音声治療法, ウエイトノイズ法についてそのプロトコルを解説し, 適用対象, これまでに当院で得られた治療結果の概要, 今後の展望等について述べる. 本方法はロンバール効果を用いた発声訓練法で, 両耳に35-55dBのウエイトノイズを負荷して音読や復唱を行う. 当院ではこれまで脳血管障害により音声障害を呈した52例に対し本方法を適用したが, うち48例において日常会話での音声に改善が認められた. 脳血管障害例は運動機能や精神機能の低下をともなうことが多く, 発声機能の低下に対する代表的アプローチとされるプッシング法や, 努力発声を要求する方法の適用が困難な場合が多い. またマスキング法も, 負荷されるマスキングノイズの不快感のため継続的な適用は困難である. ウエイトノイズ法では患者に大きな努力を強いることがなく, 無理なく安全に訓練を導入, 継続することができ, 脳血管障害例に適用が容易であると考えられる. さらにノイズを負荷するとすぐに声量, 声質の改善が得られるため, 患者の訓練意欲を引き出すことができると考えられる. 従来の訓練方法の適用が困難であった高次脳機能障害の症例, 発声時の易疲労性のため訓練開始が困難であった一側性喉頭麻痺の症例の2症例をとりあげ, 治療結果の概要を紹介する.
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© 一般社団法人国立医療学会
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