医療
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特発性正常圧水頭症の手術適応決定における持続髄液ドレナージの有用性に関する検討
立石 明広石原 正浩林 淑文埜中 正博山中 一功森内 秀祐中島 伸山崎 麻美
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2006 年 60 巻 8 号 p. 518-524

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抄録
特発性正常圧水頭症idiopathic normal pressure hydrocephalus (以下iNPHと略す)が疑われる症例に対する手術適応決定において, 持続髄液ドレナージcontinuous spinal drainage(以下CSDと略す)の有効性を評価した. 対象は2003年6月-2005年3月にiNPHを疑われて入院した18人である. 最長3日間のCSDを施行して, 症状の改善を評価し, 手術適応を決定した. 18名中15名にCSDを行い, そのうち症状改善がみられた8名とCSDを施行できなかったが手術の希望が強かった3名の計11名に脳室腹腔シャント術ventricular peritoneal shunt(以下VPSと略す)を施行した. VPS後著明改善5名, 改善5名, 変化なし1名であった. 手術適応決定においてCSDは感度が高く有用だった. CSD後の評価方法としては痴呆テスト, 歩行障害の定量的評価に加え, 定量化できない症状の変化や家人の印象もふくめた総合的判断が必要であった. 症例によっては無理をせずタップテストにとどめるなど柔軟な運用も必要である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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