医療
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薬剤師の病棟常駐化への取り組み
―大阪医療センターでの経過と現状―
前川 孝史
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2007 年 61 巻 10 号 p. 669-672

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抄録
大阪医療センターでは日常診療業務をより安全かつ効率的に行うために, 病院全体の中で薬剤師の役割を勘案のうえ人員配置の見直しを行い, 平成18年1月より病棟常駐担当薬剤師を配置し, 段階的に病棟における薬剤業務システムの構築を行った.
病棟には, 原則として1フロア2病棟に1名の割合で薬剤師が常駐し, 1回分処方毎の注射薬セットならびに整理, 各フロアに移動式クリーンベンチを配置し病棟での注射薬無菌調製, 持参薬チェック, 服薬指導を行うこととした. これとは別に診療科別担当薬剤師による薬剤管理指導業務体制も取っている.
平成18年1月より薬剤師2名を配置し業務を開始. 平成18年7月末に, 全病棟に拡大した. 無菌調製についてはミキシング対象とする薬剤の選択等, 診療科毎に意見調整を行った. また, 平成18年4月より導入された電子カルテシステムを利用し, 全入院患者を対象として, 持参薬を電子カルテに入力するシステムを構築した.
薬剤師が病棟に常駐し, 患者に投与されるまでの薬剤を薬剤師が管理し, 清潔な環境で調製された注射薬を供給することで, 医療の質は向上するものと思われた. また, 患者が入院時に持参する薬剤を, 薬剤師が確実にチェックできる体制を整えることで, 手術前に中止しなければならない薬剤の確認, 正確な用法・用量の把握, 重複投与の防止, 院内採用されている同一成分または同種同効の薬剤の提示により適正な処方オーダーが可能となった. 最終的には交代勤務制を採用し, 休日対応も視野に入れた病棟薬剤業務体制を構築することとしている.
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© 一般社団法人国立医療学会
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