医療
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重症心身障害ネットワーク・システムの役割と有用性
佐々木 征行
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2007 年 61 巻 11 号 p. 709-714

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抄録
政策医療「重症心身障害分野」遂行のため, 国立病院機構病院の重症心身障害病棟をHOSPnetで結ぶ重症心身障害: severe motor and intellectual disabilities (SMID) ネットワーク・システムを完成させた. このシステムは, 入所者の個人データベースや診療情報機能, 文献情報機能などを備え, 診療と情報発信に寄与している. 個人データベースを最大限有効に活用するため, 集計した全体と個々の病院の基本的データをグラフ化し, すべての登録者が閲覧できるようにした. 1例として, 入所者の年齢分布, 入所期間, 大島分類, 年齢群別超重症児スコアのグラフを呈示した. これらのグラフから, 入所者のおよそ90%が成人であること, 入所者の半数は26年以上入所していること, 高年齢群ほど重症度は低く低年齢群で重症度は高いことなどの実態を読みとることができる. 今後の重症心身障害医療においては, 超重症児に対する医療, 在宅支援, そして高齢者対策が最重点項目である. SMIDネットワーク・システムは重症心身障害病棟の実態を把握するのに非常に有用であり, 今後の重症心身障害医療を継続していくためにさらに活用するべきである.
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© 一般社団法人国立医療学会
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