抄録
本研究は, 中学校全体で感情に焦点をあてた集団SSTを6回行い, 中学生の社会的スキルとレジリエンスへの効果について明らかにした。SSTの実施前後に, 実施校群365名と非実施校388名のデータを用いて解析を行った結果, 男子では, 向社会的スキルと関係志向性において実施校が上昇したが, 女子では差がなかった。また2年生において, 実施校で向社会的スキルが上昇し, 引っ込み思案行動が改善した。さらに, ソーシャルスキルのレベルで比較をしたところ, 低群と中間群では差がなかったが, 高群では実施校でソーシャルスキルとレジリエンスの低下が抑制されたことが示された。