抄録
三重中央医療センターでは, 患者に安全・安心な薬物療法の提供を心がけ, 薬剤師の視点からチーム医療に参画している. がん化学療法施行にはレジメン登録を必須とし, 安全キャビネット内での抗がん剤の混合調製(ミキシング)を行っている. それにより医師の処方意図がより明確になり処方監査が行いやすくなった. 一部のレジメンであるが, レジメンに対応した投与スケジュールや副作用などを記載した薬剤説明パンフレットを作成し, 薬剤説明パンフレットを使用することで薬剤管理指導を統一化することが可能になった. 医療事故につながる恐れのある血管外漏出に対して, 対策マニュアルだけでなく, 処置薬を一体化した「血管外漏出キット」を作成することで迅速に対応できるようになった. 今後もがん化学療法の安全と安心を確保するために薬剤師間の連携だけでなく, 職種間連携を実践し, 患者視点に立ったきめ細かい医療を提供していくことが重要であると考えられる.