医療
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薬物依存症者への社会的支援
―家族からみた薬物依存症と関係機関への期待―
山口 絵美西城 春彦牧野 香織平井 愼二
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キーワード: 薬物依存症, 家族, 回復
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2008 年 62 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

薬物等の依存症については, 家族等の周囲の者による適切な対応によって, 患者の回復が促進されるといわれている. 覚せい剤や大麻, 有機溶剤などの規制薬物使用に関する犯罪性と疾病性を家族がどのように認識し, 対応をとったのか実態を把握するために, 当院(下総精神医療センター)で入院治療を行った患者の家族に対してアンケート調査を行った. また, 家族は患者の回復において重要なサポート資源であると考えられるため, 医療機関や保健所, 警察や麻薬取締部等の関係機関との連携に関して, 家族がどのように考えているのかをも問うた.
調査においては, 家族と疎遠である患者が半数近くおり, 家族のサポートが受けられずに生活保護による経済的支援を受けながら, 治療や生活をしている状況である患者が多くいた.
また, 多くの家族は, 薬物乱用には犯罪性と疾病性があることを理解しており, 実際の対応として, まずは取締りを優先させた家族が少なからずいたが, 薬物依存症の解決のために, 処罰ではなく社会復帰を促進する治療が提供されることを望んでいることが示された.

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