医療
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62 巻, 2 号
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  • 藤原 清宏
    2008 年62 巻2 号 p. 63-68
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当院(静岡富士病院)で2007年5月までに化学療法した肺Mucobacterium avium complex症(肺MAC症)17例を (1) 結核類似型, (2) 気管支拡張症手術後, (3) 気管支型の3つに分類し, 胸部CT像の推移を検討した. (1) 初診時に上葉に空洞を形成していた結核類似型は2例あった. そのうち化学療法を長期間なされた症例は, ある程度の病状の安定ははかれたが, 空洞は拡大し, 排菌は持続した. 急速に悪化した死亡例は約1年間で空洞が拡大し, 気道散布もあり予後不良であった. (2) 気管支拡張症の手術後の2例は, 肺MAC症を発症するまで長期間経過しており, 二次性病変と考えられた. 1例は持続排菌がみられ, もう1例では排菌は停止したが, 緑膿菌等の感染症の治療を要している. (3) 気管支型の症例は13例で, そのうち11例では空洞形成はなく, 画像所見も安定していた. 空洞形成例は2例あり, 1例は経過中に副作用のため薬剤の減量を行った. もう1例は無症状であったため3年診療が中断されていた症例であるが, 化学療法により空洞は閉鎖した.
  • ―新生児マススクリーニング陽性例の早期診断への応用―
    長尾 雅悦
    2008 年62 巻2 号 p. 69-75
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新生児マススクリーニングは知的障害の予防に大きな成果をあげてきたが, 対象疾患の種類や頻度が増加し陽性例を早期に診断する体制が求められている. そこで先天代謝異常症4疾患(フェニルケトン尿症, ホモシスチン尿症, メープルシロップ尿症, ガラクトース血症)の精査症例を臨床応用の進歩著しい遺伝子検査を用いて確定診断を行った. 札幌市および北海道の過去5年間(平成14-18年度)の受診者数は約45,000人/年で, 精密検査対象は37例あった. この中から古典型フェニルケトン尿症(PKU)3例, メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ(MAT)欠損症1例, シトリン欠損症(NICCD)1例を遺伝子診断した. 遺伝子診断された5例以外はすべて一過性あるいは他の病態を反映した2次的な検査値の異常であった.変異の同定により病型診断とそれに応じた治療方針の決定も可能となった. スクリーニング陽性症例を早期に診断治療するシステムの確立に向け, 国立病院機構の遺伝学的診断機能を充実することが期待される.
  • 漆畑 眞人
    2008 年62 巻2 号 p. 76-77
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 植竹 日奈
    2008 年62 巻2 号 p. 78-82
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側索硬化症:amyotrophic Lateral sclerosis (ALS)による呼吸不全の進行にともなって侵襲式人工呼吸療法を選択するかどうかは患者にとって大きな岐路である. 生死を分ける決定を行うわけであるから, 患者や家族には医学的情報だけでなく, 生活全般にわたった情報提供が不可欠となり, 決定の過程には医師以外の複数の専門職が関わることが望ましい. 米国では, 事前指示やリビングウィルへの関わりは主にソーシャルワーカー(以下SWR)が行うなど方針決定にSWRが深く関わっているが, 日本では医師以外の職種が治療上の選択に関わることについてあまり認識されていない. 当院(中信松本病院)受診中に, 人工呼吸器を選択するか検討した23例を対象とし, 呼吸器選択の過程におけるSWRの関与を分析してみたところ23例中22例においてSWRが病名告知の席に加わり, 告知後の面接を行っていた. SWRによる面接で多くみられた場面は, 医療, 介護, 経済, 福祉など多分野にまたがった広範囲の情報提供, 医師に聞きにくい質問を仲介する, 治療方針や医学的知識に関わる説明をする, 家族面接などを構成する, カウンセリング的な対応をするなど, 医師のみでは対応が困難な場面も多くあった. 反面, 医学的知識に関わる質問も多く, SWRが決定の過程を支えるためには, 医学的情報はもちろん生活全般に関わる広範な内容について, 医師をはじめとした医療職とSWRとが十分に情報を共有し, 方針を確認した上で面接を行うことが重要である.
  • 堀内 亮, 西田 崇大, 山本 啓太, 薬師寺 あかり, 長竹 教夫, 安井 玲子, 早川 達郎, 海老根 いく子
    2008 年62 巻2 号 p. 84-88
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立精神・神経センター国府台病院では2005年9月に精神科救急病棟の施設基準を取得した. 精神科救急病棟ではソーシャルワーカー:Social worker (SW)による心理・社会的な課題への援助, 地域生活への移行の支援を進めることが期待されているが, 入院全ケースにSWが介入することは困難であり, 社会的な問題が発見された際にSWの介入が行われている. ここでは精神科救急病棟におけるSWの実態を報告し, SWの役割について考察する.
    研究方法は当院精神科救急病棟へ2005年9月以降に入院し, 2006年8月末までに退院した患者の診療録およびSW記録よりマトリックスを作成し, SWの介入の実態を明らかにした.
    結果は, 入院患者全291名のうち約33%である97名にSWが介入した. SWが介入した97名は, 統合失調症患者が多くを占め, 入院早期からSWは独自の判断で介入し, 退院問題, 経済問題, 心理・社会的な問題など多岐の問題を解決する援助に取り組んでいた.
    当該病棟に専任SWが2名配置されたことは, 積極的な情報収集とSWの判断による入院早期からの介入, 医療スタッフとの連携を強化することが可能となり, SWと患者が協働で問題解決できる時間を確保することができた.
  • 北出 直子
    2008 年62 巻2 号 p. 89-92
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年の医療制度改革にともない, 高齢者施設の数は年々増加している. それに従って, 急変した高齢者施設入所者の救急医療施設への搬送も増加しているが, 入院加療後, 高齢者施設への再入所に際して本人および家族の意思と施設の受け入れ状況に差異が生じているのが現状である. 今回, 高齢者施設における入所者への急変時対応の実態についてアンケートを通じて明らかにするとともに, 再入所にともなう問題点について医療ソーシャルワーカーの視点から検討した.
    その結果, 高齢者施設入所者が急変した際の提携医療機関への受け入れは, 現時点では十分なものではなく, その結果本人のDNR (do not resuscitate)の意思等が十分に反映されていない事が明らかになった.
    しかしながら, 他の医療機関入院後に治療・処置等で施設利用者の医療依存度が高くなり, 再入所不可能と考えられた場合でも, 病院は施設側にインフォームド・コンセントなどの十分な情報提供を行えば状態によっては再入所も十分可能であるケースが多いことが示唆された.
    また, 治療・処置に関する本人の意思決定についても, 十分なインフォームド・コンセントを行うことにより, 今後より尊重される余地があると思われた. やむを得ず再入所ができない場合は, 元の入所施設と新しい入所施設の相互のソーシャルワーカーが十分に情報交換を行い, 連携していく余地が多分に残されていることも示唆された. このように, 患者の新しい生活の場の選択肢を可能な限り広げていくことが, 相互の施設のソーシャルワーカーの重要な課題の1つであることが改めて明らかとなった.
  • ―茨城県における調査から―
    新保 祐光, 本橋 宏一, 山本 敬子, 中村 優子
    2008 年62 巻2 号 p. 93-97
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本調査は, 2006年度診療報酬改定後の茨城県における人工呼吸器装着者受け入れ医療機関の調査である. 今回の改定において人工呼吸器装着が療養病床の医療区分3に明記されたため, この制度の変更による受け入れ医療機関への影響を明らかにすることを目的として行った. 方法は, 改定内容公表後の2006年3月下旬にFAXによる質問紙調査を行い, 受け入れの可否と受け入れの際の条件について調査した. その結果を改定前調査(2004年)と比較した. また, 回答機関の変化と病床種別の受け入れ条件についても検討した.
    結果, 受け入れを行う医療機関の割合に大きな変化はみられなかったが, 受け入れ可能と回答した医療機関は半数以上が入れ替わり, ほとんどが療養病床で受け入れを行う医療機関であった.
    受け入れ条件も一般病床と療養病床で傾向が大きく異なった. これらから療養病床の影響が強く示唆され, 診療報酬改定の影響は大きかったといえる.
  • ―家族からみた薬物依存症と関係機関への期待―
    山口 絵美, 西城 春彦, 牧野 香織, 平井 愼二
    2008 年62 巻2 号 p. 99-103
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    薬物等の依存症については, 家族等の周囲の者による適切な対応によって, 患者の回復が促進されるといわれている. 覚せい剤や大麻, 有機溶剤などの規制薬物使用に関する犯罪性と疾病性を家族がどのように認識し, 対応をとったのか実態を把握するために, 当院(下総精神医療センター)で入院治療を行った患者の家族に対してアンケート調査を行った. また, 家族は患者の回復において重要なサポート資源であると考えられるため, 医療機関や保健所, 警察や麻薬取締部等の関係機関との連携に関して, 家族がどのように考えているのかをも問うた.
    調査においては, 家族と疎遠である患者が半数近くおり, 家族のサポートが受けられずに生活保護による経済的支援を受けながら, 治療や生活をしている状況である患者が多くいた.
    また, 多くの家族は, 薬物乱用には犯罪性と疾病性があることを理解しており, 実際の対応として, まずは取締りを優先させた家族が少なからずいたが, 薬物依存症の解決のために, 処罰ではなく社会復帰を促進する治療が提供されることを望んでいることが示された.
  • 松永 達雄
    2008 年62 巻2 号 p. 104-108
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 関根 信幸
    2008 年62 巻2 号 p. 109-110
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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