医療
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心疾患克服への将来戦略
―外科―
舩津 俊宏小林 順二郎
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キーワード: 心臓外科, 低侵襲, デバイス
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2008 年 62 巻 3 号 p. 141-144

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抄録

近年の心臓外科領域における手術法, デバイスの進歩はめざましいものがある. より高齢化, 重症化する患者群に対して安全な手術を提供できるよう, 治療効果を維持しつつ低侵襲化をめざした研究がなされてきた. 冠動脈疾患, 弁膜症のいずれにおいても, 普遍的な手術法は確立しており, 今後はこれらをいかに低侵襲でハイリスクな症例に安全に行いえるかという点に重点をおくことになろう. 具体的には, 冠動脈バイパスでは人工心肺を用いない心拍動下手術が一般化したが, さらに小切開やロボット手術によるリスクと侵襲の軽減が課題となる. 弁膜症においては, 経皮的弁手術の開発と並行して, 直視下手術では冠動脈バイパス同様に小切開やロボットの普遍的な導入が進められよう. また重症心不全に対しては, 左室形成術や僧帽弁形成術による症状の改善が報告され, 機械的補助に頼らない治療法として注目されており, 今後も改良が加わりながら発展が期待される. 一方人工心臓では, 植え込み型人工心臓の導入により高いQOLで, 再開された心臓移植への待機が可能となったが, 今後さらに血栓症を中心とする合併症の克服へ向けたデバイスや抗凝固療法の改良が必要である.

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