抄録
[目的]本研究の目的は,実験的に作成した足関節底屈筋虚弱者用のつま先立ち練習器の運動効果を筋電図学的見地より検証することである. [方法]下腿三頭筋内側頭,下腿三頭筋外側頭,ヒラメ筋,前脛骨筋の4筋について筋活動量を計測し,平坦床上と本運動器上でのHeel raise動作時の活動電位を比較検討した.またHeel raise動作速度を通常速度と最大速度にて行い,合計4条件での比較を行った.[結果]活動筋電位の比較において,練習器の有無および運動速度の違いによって各筋の筋活動に差が生じた.通常速度の運動において,全ての筋で練習器を使用したほうが積分値が大きく,逆に最大速度の運動では積分値が小さいという傾向を示した.[考察]練習器を使用した場合,下肢筋の出力量が速度依存傾向であったことから,足関節底屈筋虚弱者に限らない運用の可能性が示唆された.同時に,使用方法の明確な設定が重要であると考えられた.