日本画像学会誌
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論文
測色的色再現における四色印刷墨量決定アルゴリズムの視覚による総合評価
飯野 浩一Roy S. BERNS
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1998 年 37 巻 3 号 p. 243-254

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抄録

四色オフセット印刷を出力としたカラーマネージメントシステムにおいて,測色的色再現を満足した場合の色分解アルゴリズムによる空間画質の評価を行った.製版スキャナのコンベンショナルな特性を近似し測色的色再現を満足する墨量決定方法と,測色的色再現において最大墨量と最小墨量に基づく墨量決定方法を用い,自然画像とCG合成画像にっいて,墨量決定処理の煩雑さと空間画質のトレードオフを検討するため,知覚限界,許容限界の視点から視覚実験を行った.教育機関に所属する一般的な被験者グループと,印刷工場での実務により日頃から画質評価をしている被験者グループに対し,計6画像を用い評価を行った.実験結果から,許容限界では空問画質にあまり差がない色分解アルゴリズムが,知覚限界では明らかに差が認知されていることが示された.自然画像に対する結果では,最小墨量を用いた色分解方法が最も高い空間画質と評価されたが,この方法は合成画像においては偽輪郭を生じた.一般的な画像に対しては,コンベンショナルな方法または最小墨量に近い色分解方法が推奨される.

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© 1998 一般社団法人 日本画像学会
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