日本画像学会誌
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論文
有機ポリシラン積層感光体の高感度化と高速応答化
左近 洋太鈴木 哲郎梅田 実
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1999 年 38 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

フルオレノン・ビスアゾ顔料 (Azo-FO) を有する電荷発生層 (CGL) と有機ポリシラン (PMPS) からなる電荷輸送層 (CTL) から高感度, 高速応答積層感光体を構成した. これまでPMPS CTLとアゾ顔料CGLとの積層において, 分子分散ポリマー (MDP) CTL積層と比較して高感度が発現できないことが報告されているが, これに対して積層感光体の光キャリア発生の観点から高感度化を検討した. TEMと蛍光消光による解析から, 単純な積層構成では光キャリアの生成サイト数が不充分であることが明らかとなり, Azo-FO CGLにPMPSを混合し電荷発生材料Azo-FOと電荷輸送材料 (CTM) PMPSの接触を増やすことで初めて高効率で光キャリアを生成することが見出され, これまで報告された低分子CTMのCGLまたはCTLへの添加あるいはMDP CTL積層と同等の高感度が得られた. また, キセノンフラッシュランプによるレスポンス感度において, MDP CTL感光体, さらには低分子CTMをCGLまたはCTLに添加したPMPS CTL感光体を凌ぐレスポンス感度が確認された.

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© 1999 一般社団法人 日本画像学会
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