日本画像学会誌
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論文
トナー定着プロセスにおける温度場の数値予測
醒井 政博下川 拓生竹之内 和樹川北 和明
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1999 年 38 巻 1 号 p. 26-34

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抄録

トナー定着プロセスにおける伝熱現象の解析においては, トナー粒子の積層状態および記録紙の表面状態に起因して存在する空気の伝熱抵抗を導入することが不可欠である.
本報では, 定着領域内部に存在する空気をモデル化した仮想空気層の設定位置について, トナー粒子層表面温度の実測値と計算結果を比較して, 温度場を精度良く予測するための妥当性の高いモデル構成を検討した. まず定着領域内部での温度変化を, 温度場の相似則に基づいて, 定着部出口での計測温度から推定した. ついで定着温度場に与える仮想空気層の伝熱抵抗の影響を考慮して, 5種類のモデルを提案した. それらのうち, 記録紙の表面粗さに基づく空気層をヒートローラ表層とトナー層との境界面に位置させ, 一方トナー粒子の積層に基づく空気層を2層状態のトナー粒子層の厚さ中央に位置させるモデル, またはトナー層を空気を含んだ多孔質体とするモデルを用いた場合, 良い予測が得られることがわかった. このモデルを, 表面粗さの異なる2種類の記録紙に適用した場合, 同様に良い精度の結果が得られることから, 本計算法が有用であることを検証した.

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© 1999 一般社団法人 日本画像学会
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