抄録
今日のインクジェットの飛躍的な高画質化には,インク画素が視認できないまでに小さい微小なインク滴を吐出するヘッド技術の進歩が大きな役割を果たしてきた.この急速で劇的な進歩は,最近の5年間でインク滴体積を10分の1にまで縮小し,今日のインクジェット技術の隆盛をもたらし,さらに新しい市場・応用分野への展開を加速させてきている.
本稿は,セイコーエプソンにおけるインクジェットヘッドのインク滴微小化技術を取り上げ,セイコーエプソンが開発したピエゾ方式のインクジェットヘッド:MACHを概説し,インク滴微小化技術を理解するうえで必要なヘッドの解析手法とメニスカス制御の基本を述べ,これらの理解を元にインク滴微小化に向けたヘッド構造および駆動波形の設計技術を解説する.