抄録
帯電ムラを研究するために,直流電圧を印加した金属ローラでポリエチレンテレフタレート・シートを帯電し,ローラとシートとの間のくさび状空気ギャップに生じる放電を観測した.帯電後に有色粉をふりかけると,シート上に帯電パターンが可視化できる.帯電ムラのパターンはローラ印加電圧があるしきい値を越えると現れ,このしきい値は,放電パルスが現れるしきい値とも一致する.このしきい値は印加電圧の極性に依存しない.帯電ムラのパターンは,印加電圧が正の場合では星形模様,負の場合では円形模様である.観測された放電光の長さは,帯電ムラパターンのくり返し距離とほぼ一致する.従って,観測された帯電ムラは,シートがローラに巻き込まれるときに起きる放電によるものである.部分容量とPaschen則を使うモデルによって,空気ギャップにかかる電圧を計算し,帯電ムラの起きるしきい値を求めることができる.