Ba
1-xPb
xTiO
3強誘電体を合成し,その強誘電イメージングへの応用について検討を行った.まず,Ba
1-xPb
xTiO
3固溶体ペレットを形成し,上記イメージング材料に必要とされる物性条件について検討を行った.その結果,ポーリング処理が十分行え,かつ焦電性が十分発現するためには,より小さな比誘電率とより大きな抵抗率を有する強誘電体を選択する必要があることがわかった.本材料系の場合,最適材料は比誘電率420,抵抗率8.0×10
13Ωcmを示すBa
0.75Pb
0.25TiO
3であり(
x = 0.25),発現する焦電電位は正コロナポーリング処理の場合-0.23V/μm,負コロナポーリングの場合+0.25V/μm(従ってコントラスト電位 = 0.48V/μm)であった.
次に,より実用に近い形態としてBa
0.75Pb
0.25TiO
3/ポリビニルブチラール複合膜(膜厚約80μm)の強誘電イメージングについて検討を行った.その結果,複合形態はポーリング挙動及び焦電性の観点から,固溶体よりも望ましい形態であり,より大きな焦電電位の発現が可能であった.正及び負コロナポーリングの場合,その値はそれぞれ-1.2V/μm及び+1.6V/μmであるので,コントラスト電位は2.8V/μmであった.なお,その最大の焦電電位を発現させるためには,Ba
0.75Pb
0.25TiO
3粉体の合成において,仮焼回数(1000°C,3時間)を2あるいは3回とし,読み出し加熱温度を140°Cとすればよいことがわかった.また,トナー現像を行った結果,焦電電位分布に応じた画像形成が可能であることがわかった.
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