抄録
コンピュータの発達によって近年シミュレーションによる解析が活発となり,転写プロセスにおいても多くの解析事例が報告されている.本稿では,転写プロセスにおけるシミュレーション技術について,転写電界計算とトナー挙動シミュレーションの2つに大別して解説を行う.転写とは,付着力に打ち勝ってトナーを転写部材に電気的に引き付けるため,転写電界を算出することは転写プロセスを考える上で大変重要である.電界計算の事例として,転写チリの原因について考察した結果を中心に紹介する.また,近年では粉体個々の挙動を解析可能な手法が用いられるようになり,転写領域でのトナー挙動が解析できるようになった.トナー挙動シミュレーションとして,トナーが塑性変形することで中抜け画像となる現象や,プレ転写によってチリが発生する現象をシミュレーションで計算した事例を紹介する.