2004 年 43 巻 6 号 p. 444-452
各ドットの濃度が2値のプリンタで擬似的に連続階調画像を再現するデジタルハーフトーニングに関しては,誤差拡散法など多くの方式が提案されているが,その多くは,各ドットのサイズとピッチが等しいことを基本としている.しかし例えばインクジェットプリンタに電気的偏向を適用すれば,ドットのサイズは一定でかつドット位置をドットサイズよりも細かい単位で制御することが原理的に可能である.その場合ドットの間隔がより細かく制御できるので,画質の向上が期待できる.本論文ではドット位置がドットサイズよりは細かい単位で離散的に可変である処理アルゴリズムとして,従来の誤差拡散法を自然に拡張することにより実現する方式を提案する.この単位を細かくしていけば,離散的なレベル数を増やすことができ,限りなく連続に近づけることができる.さらに,この方式を実現するために,ハイライト部やシャドー部のように少数ドットが疎に分布する領域でもワームを生じにくいエラーフィルタとして,1つのパラメータを与えるだけで任意の大きさのフィルタを生成できるスケーラブルエラーフィルタを提案する.本方式の有効性について,主観評価により画質が向上することを確認した.