抄録
酸化銀(I)をポリビニルアルコールとともに基材上に塗膜として形成し,これに近赤レーザー光を照射することにより,導電性銀画像をダイレクトに作製した.希硝酸で処理することにより,未照射部の酸化銀は除去される.この方法で生じる銀は,粒子同士は融着しているが,数μmの空孔を有する多孔質である.細線のエッジ形状は切れが良く,にじみ等の欠点は見られない.今回の検討では,最も細い画線として30μm幅の線を描くことができた.また,使用する酸化銀の粒子径は小さいほど,高精細な画像が期待できる.レーザー光の過剰な照射は,アブレーションの原因となるため好ましくなかった.得られた細線の体積抵抗値は10-5Ωcm台で,めっきなどの追加処理を行わずに,実用的なレベルに達した.