日本画像学会誌
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原著論文
識別可能なドット粒径とデジタル視覚特性
保坂 靖夫
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2008 年 47 巻 1 号 p. 3-9

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抄録

人の目の視覚特性は,アナログテレビ開発と並行して従来から詳細に調べられてきた.一方,記録紙上に[1,0]2値の記録ドット集合で画像を形成するカラープリンターやデジタルカラー複写機などの静止画像に対する視覚特性とその視覚特性を用いた画質に関する研究報告がなく,高画質化は銀塩写真をモデルにしてドットを微細化することで行われてきた.しかし,微細化に伴う画像メモリの増加やカラー演算処理の高速化などハード面での課題が多くなっている.本報告では,記録ドットをどこまで微細化すれば良質な画像として人が認識するかなど理論的目標値を明らかにするため,人が識別できる減法三原色のドットの大きさと空間周波数との関係を測定で求めた.また,二次元フーリエ級数に従来の視覚特性を導入して人が認識しているドットの再構成画像を作成し,新たに測定した記録ドットに対する視覚特性と比較した.その結果,人が視覚系を通して微細ドットを観測すると濃度に変換され,その濃度は従来から知られている識別可能な最小濃度と一致することを明らかにした.

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© 2008 一般社団法人 日本画像学会
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