定着ニップ内のトナー溶融変形挙動を直接シミュレーションする新しい解析技術を開発した.解析手法に,固体・液体・気体の統一解法として知られるCCUP法,トナーレオロジーの構成方程式にLeonovモデルを適用した.本解析技術では,定着ニップ内においてトナーを積層した粒子として扱い,温度履歴により変化するトナーの粘弾性特性とニップ圧を考慮したトナーの変形解析が可能である.トナーの粘弾性特性を,マルチモードMaxwellモデルの理論式より実測データをフィッティングして再現し,また温度特性はWLF (Williams-Landel-Ferry) 則を適用して,任意温度での対応を可能とした.ここでは,これらの解析技術を解説するとともに,実際の定着パラメータによる溶融解析例を示す.