日本画像学会誌
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Imaging Today
認知科学的に見た紙メディアに潜む未知のポテンシャル
尾鍋 史彦
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2010 年 49 巻 4 号 p. 265-270

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抄録
紙のメディアとしての優位性の本質は人間との親和性にある.発達心理学からみると紙の感覚・知覚への訴求力や紙に載せた文字の繋がりからなる意味の認知構造への深く安定的な格納能力は生得的なものであり,個人の知の形成においてはデジタル時代においても紙メディアは優位性を持ち続ける.メディアの人間との親和性を感情価として評価すると,紙メディアの感情価は高く認知過程を促進するが,現段階での電子的表示メディアの感情価は不十分であるために,認知過程を阻害することが考えられる.またアフォーダンス理論によると,メディアの人間との相互作用に関わる身体感覚や文化的環境も認知過程に影響するので,紙の書籍と電子書籍は単なる視覚による読みの差異以外の書籍としての形態や視覚以外の諸感覚も認知過程に関係するが,さらなる解明には認知科学が強力な手段となるだろう.
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© 2010 一般社団法人 日本画像学会
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