2014 年 53 巻 1 号 p. 53-60
本稿では,グラフェン中二次元プラズモンの流体力学的性質を利用したテラヘルツ (THz) 波発生器·検出器,およびゼロバンドギャップによって可能となるバンド間THz帯反転分布形成·THz光子誘導放出を利用したアクティブプラズモニックデバイスについて紹介する.これまで化合物半導体ヘテロ構造二次元電子ガスを中心として研究されてきた二次元プラズモンの物理的性質と,流体力学的プラズマ不安定性と非線形性に基づくプラズモニック発生器·検出器の動作原理を解説し,グラフェンをチャネル材料として用いることによる優位性について述べる.また,グラフェン特有の性質であるバンド間THz帯反転分布形成·光子誘導放出について解説し,これを活用したアクティブ·プラズモニック導波路ならびにプラズモニックレーザを紹介する.