抄録
昔から多くの炭素材料は,有機·高分子物質の熱分解過程を利用してつくられてきた.不活性ガス雰囲気,常圧のもとで1,000°C程度までの熱処理でつくられる炭素化物はグラファイト系の炭素になる.その基本的な炭素化の過程は今も昔も変わらないが,炭素化原料となる有機物の形状,構造,組成,性質,炭素化過程等を考慮することにより,機能性の異なるさまざまな炭素材料を創製することができる.特に近年のエネルギー貯蓄·有効利用の観点で,炭素材料を高機能化するための選択的なナノ構造化は重要課題である.本解説では,炭素化収率の高い共役系高分子,逆に炭素化収率の低い木質系物質 (バイオマス) や環状オリゴ糖であるシクロデキストリンのマイクロキューブ結晶を炭素化原料として用いて,ナノ構造化炭素材料を調製するためのアプローチについて述べる.従来の多孔性炭素や階層ナノ構造化炭素を参照し,これらの原料物質を炭素化した場合のナノ構造や微細形状維持などの特徴について解説を行う.