抄録
青い金属光沢で知られるモルフォ蝶の発色は,干渉色ながら色に角度依存性がない (虹色でない) 物理学的に異常な性質を持つ.その鍵は,規則性と不規則性を同時に含む特殊なナノ構造にあり,原理を抽出することで人工的な発色再現もできる.その結果,モルフォ発色は高反射率 (光利用効率が高い) ながら広角で同一色であり,さらに無退色,低環境負荷 (色素不要かつ省材料) など,優れた性質をもつとわかってきた.応用までには量産技術やコスト,設計のための「乱雑さの制御」など多くの壁があるが,現代の先端テクノロジーを用いて一歩一歩,実用に近づいている.本稿ではモルフォ発色の応用に焦点を絞り,筆者らが続けてきた種々の試みと現状,将来の見通しを総合的に紹介する.