抄録
プラスチック基材等の非浸透基材にインクジェットプリンターを用いて画像形成が可能な水性レジンインクを開発した.この水性レジンインクは,サイングラフィックス用途に用いられる非浸透基材対応のインクとして普及しているソルベントインクに劣らない30m2/h以上の印刷速度を提供できる.水性レジンインクでの印刷速度向上にあたっては,まず,インクが印刷基材のコート層と相溶することが重要であり,相溶性の向上には添加する溶剤が大きく影響することを見出した.さらに,溶剤の基材コート層の溶解性は,TeasのFractional parameter;Fd(%),Fp(%),Fh(%)が所定の範囲にあることが重要とわかった.最後に,表面乾燥過程測定装置を用いたインクの定着速度の評価方法を新たに考案し,上記の溶剤の効果を検証した.結果,基材コート層の溶解性を持つ溶剤の添加率を高めることでインクの定着速度が向上することを確認し,水性レジンインクの高速印字対応技術を確立した.