抄録
緩和時間の測定により,分子運動性の評価が可能なパルス核磁気共鳴 (Pulse Nuclear Magnetic Resonance:パルスNMR) 法を利用し,樹脂材料の評価技術を開発した.第一に,結晶性ポリエステル中の低温溶融成分は分子量が小さく,分子運動性が高いため,長い緩和時間を示すことに着目し,トナー用樹脂の熱に対する保存安定性の評価を行った.本法は温度変調示差走査熱量測定 (Temperature Modulated Differential Scanning Calorimetry:温度変調DSC) 法に比べ簡便かつ高感度に,さらにサンプルを粉体にすることなく評価できることを示した.第二に,硬度の低いものは分子運動性が高く,長い緩和時間を示すことに着目し,樹脂の硬度評価を行った.本法は測定サンプルの形状を選ばず,結果を数値化できる点が優れており,鉛筆硬度試験法を補うような硬度評価法となることを示した.