日本画像学会誌
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Imaging Today
環状オレフィン系樹脂「アペル®」の特徴と用途展開
木津 巧一
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2016 年 55 巻 2 号 p. 236-242

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抄録
環状オレフィン系樹脂は,光学物性バランスに優れた非晶性透明樹脂であり,耐熱性にも優れることから,近年の光学部品の小型軽量化,高性能化,および低コスト化ニーズが広がるに伴い,急速に注目を集めている.従来の光学樹脂としては,ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリカーボネート(PC)などが知られているが,これらの樹脂はいずれも極性の置換基を持つため吸水率が高く,環境変化による物性変化が大きい他,PMMAは屈折率が低く,PCは複屈折が大きいなどの問題点がある.ポリオレフィンに環状オレフィン構造を導入することにより,これらの欠点の解消を図ったのが,環状オレフィン系樹脂である.その一種である「アペル®」は,三井化学(株)が開発した環状オレフィン共重合体(COC)である.この樹脂は他に類をみない高屈折率・低複屈折性を示すことから,同種の樹脂の中でも光学材料として優位性を持っている.以下アペル®を例に,環状オレフィン共重合体の構造と特徴,用途展開について紹介する.
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© 2016 一般社団法人 日本画像学会
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