日本画像学会誌
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Advanced Technology
変性セルロースナノファイバーの開発状況
黒木 大輔
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2016 年 55 巻 3 号 p. 369-374

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抄録

セルロースナノファイバー (CNF) は,木材や草本植物などの非食用バイオマスから得られた再生可能な材料であり,軽量,高強度,高弾性,低熱膨張,高比表面積などの優れた特徴を有しており,CNFへの研究開発が国内外で進められてきた.弊社では,製紙用薬品で培った化学修飾技術に基づいたCNFの機能化に取り組んでいる.CNFは前述したような優れた特性を示すが,高度に親水性であるため,容易に水または湿気を吸収し,疎水性を持つ樹脂と均一に混合することができない.したがって,工業材料のような広い用途に使用する場合,最適化が必要である.セルロースへの反応性と疎水性部位の両方を有する変性剤により疎水化されることで,CNFは,高い疎水性を有する高密度ポリエチレン (HDPE) 中の分散性を向上することが可能となった.この結果,複合材料の引張強度,曲げ強度,及び弾性率が向上し,線膨張係数が減少した.本報では,この材料を熱可塑性樹脂と発泡材料に応用した例について紹介する.

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© 2016 一般社団法人 日本画像学会
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