2016 年 55 巻 3 号 p. 361-368
樹木から得られる幅3-15nmのナノセルロースでつくる紙 「ナノペーパー」 は,プラスチック並の高透明性,ガラス並みの高熱寸法安定性,紙ならではの軽量柔軟性,極微細なナノ空隙構造といった極めて優れた特性を有している.我々はこれまでに,ナノペーパーと先端電子材料を融合することにより,近未来のフレキシブル·ウエアラブルエレクトロニクスに資する 「電子デバイス機能を持つ紙」 を開発することに成功した.本稿では,ナノセルロース·紙ならではの物性や構造を活かした融合戦略により作製した 「電気を流す透明な紙 (透明導電紙) 」,「無線情報を送受信する紙 (ペーパーアンテナ) 」,「デジタル情報を記憶する紙 (ペーパーメモリ) 」 とそれらの優れた機能について詳細に述べる.