2018 年 57 巻 5 号 p. 533-536
近年,商標審査の効率化のために,申請商標を検索クエリとして用い,外観が類似している商標を検索するシステムが求められている.従来の我々の手法は,図形の形状の類似度を算出し,ランキング方式で類似商標を検索するものである.しかし外観の類似は,図形の形状の類似のみで判断されるわけではなく,図形の概念的な要素が同一であれば類似しているとみなされるケースがある.よって,外観の類似性を扱う上で,図形の概念的な分類も考慮する必要がある.そこで本研究では,商標に含まれる図形の概念的な分類指標であるウィーン分類に着目する.ウィーン分類の一致は,図形の概念的な分類が同一であることを表す.また,ウィーン分類は,商標に複数付与されており,各々独立した図形の分類を表現しているため,その一致数が多ければ類似性が高いと考えられる.よって,上記システムにウィーン分類の一致数を類似指標として組み込む.本論文では,ウィーン分類を考慮した検索手法の有効性を検証し,精度を約2%向上することに成功した.