2019 年 58 巻 1 号 p. 122-130
元素ブロックは,さまざまな元素の特性を活かした光学特性や電気特性·反応特性を持つ原子団であるが,それは表面·界面といった束縛された環境においても同様に,特異な性質を発現する.そのため,接着においても画像表示のディスプレイをはじめとした応用展開が期待できる.本稿では,元素ブロックであるコバルト錯体を表面処理のためのプライマーとした接着機構評価を詳細に紹介した.種々の測定の結果,接着界面が空間的な広がりを持つ“interphase”として存在し,界面厚みが接着強度と強い相関を持つことが明らかとなった.さらに,ポリエチレン (PE) /アイソタクチックポリプロピレン (it. PP) の異種高分子界面,PE/PEの同種高分子界面を取り上げ,共焦点ラマン分光法に加え,走査型サーマル顕微鏡やマイクロビームX線回折といった多様な手法での界面解析での界面厚みの評価と接着性能との関係性についても紹介し,“interphase”が形成される要因について解明した.