2019 年 58 巻 1 号 p. 28-32
ニオブは陽極酸化によって表面に透明な酸化ニオブが形成される.そして印加電圧を変化させることによって様々な色に発色可能なことが知られている.この発色はニオブ表面と陽極酸化層の薄膜干渉に起因し,印加電圧が大きくなるにつれて,酸化ニオブの膜厚は厚くなる.薄膜干渉による色は紫外線に対して劣化·退色しない,ある程度高温にも耐えられるなどといったメリットを持つ.しかし,陽極酸化による発色は酸化ニオブ層の膜厚に関係しているため,発色したニオブ基板上に新たな色を置いて混色させることができない.本論文ではニオブ基板上にフォトリソグラフィーの技術による画像形成手法を用いて微細なパターンを形成し,異なる電圧で形成した陽極酸化層を並べることで並置加法混色により二つの干渉色が混色するのか検討を行った.作製した混色サンプルと単色で着色したニオブの分光反射率,RGB値から陽極酸化と並置加法混色を用いることで二つの干渉色を混色させ新しい色を作り出すことに成功した.