2020 年 59 巻 2 号 p. 228-234
コンピュータ上で使用できるデザイン支援ツールが普及しているが,デザインの初期段階においてはあまり利用されず,紙やペンを用いた試行錯誤が行われることが多い.認知的側面から従来の支援ツールを見ると,デザインの初期段階において創造活動を阻害してしまう問題があり,これが普及を妨げる要因となっている.本稿では従来のデザイン支援ツールが持つ認知的な問題に触れ,複数の静止画デザインの分野において,ペンベースのUIを使うことでこの問題を解決し創造活動を支援する研究を紹介する.また,近年普及しているアニメーションの分野におけるペンベースのデザイン支援ツールを紹介し,この分野においても認知的な支援の問題が存在する可能性について述べる.