2021 年 60 巻 3 号 p. 293-302
電気泳動方式電子ペーパーは2000年代より電子書籍端末用のディスプレイとして,その目に優しく紙に近い表示品位により現在まで広く普及してきた.近年では医療現場において,反射型ディスプレイで自発光しないために患者の睡眠を妨げない,表示時のブルーライトの発生が少ない,などの特徴による患者への負担が期待されており,また,画面を書き換えるとき以外はディスプレイ自身は電力を消費しないためにパンデミック下や災害時などでの電源不足問題の緩和等が期待されて医療施設への設置が検討されるようになってきた.
さらには,近年のパンデミック下での人の移動制限などによって隔離された環境での情報共有や会議などにも良いとが広がりつつある.本稿では,医療現場,病院内,および遠隔環境での会議などへの電子ペーパーの貢献についての事例を紹介する.