2022 年 61 巻 2 号 p. 157-165
2019年,立体の基本構成要素であるボクセルの集合として内部構造を含めて立体形状を表現し,ものづくりで生じる様々なデータ処理やデータ変換工程間で一貫して使用することのできる3DデータフォーマットFAV (fabricatable voxel) がJIS (日本工業規格) として登録された.FAVは個々のボクセルが様々な属性情報を保持できること,ボクセルそのものを有限要素メッシュとみなしてそのままシミュレーションへ適用可能なこと,さらにはシミュレーションを行った結果を立体形状の設計に忠実に反映させることが可能であることなどから,シミュレーションとの親和性が高い.本稿では,FAVで拡大するものづくりのシミュレーション活用に関する近年の技術動向や成果とともに,その最新の取り組みとして,FAVの属性情報を活用したパターン構造の最適設計技術と,本技術を適用した事例について解説する.