我々は,マテリアルズ・インフォマティクス (materials informatics, MI) をポリプロピレン複合材料の弾性率の予測モデルの構築に適用した.MIの適用では,材料特性データを用いずに,高分子複合材料を構成するポリプロピレン,フィラー及び添加剤の各銘柄を0と1で組み合わせた記述子,フィラー及び添加剤は含有率を記述子とすることで説明変数を設定した.このように設定した説明変数を用いて,PLS (partial least square) 回帰により弾性率の予測モデルを構築した.
構築した予測モデルを検証するために,新たに選択したポリプロピレン複合材料の処方に対して弾性率を測定して実測値と予測値を比較した.フィラー含有率の高い複合材料については,非線形のSVR (support vector regression) 回帰を適用することにより,予測精度を向上させた.この予測モデルは,所望の弾性率を得るためのポリプロピレン,フィラー,添加剤の適切な組み合わせを特定するために有用である.
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