2023 年 62 巻 5 号 p. 466-470
新型コロナウイルス (COVID-19) の影響により,ビジネスや教育現場等のさまざまなシーンにおいて,ZoomやMicrosoft Teams,Cisco Webex等を使ったオンライン上でのコミュニケーションが一般的になりました.そんな中,ビジネスの現場においては,プライバシー保護やセキュリティ,通信負荷軽減の観点からビデオをOFFにしてコミュニケーションをとるシーンも多く見受けられます.そこで今回,男女14グループを対象に「ビデオON」「ビデオOFF」の2つのパターンで,対話における意見対立や合意形成にかかる時間,および意思決定の質について比較検証したところ,「ビデオOFF」では,メンバーの多様性を起因とする意見対立を避けるようになり,合意まで時間がかかり,結果,意思決定の質が悪化するという結論が得られました.今後は本研究成果の発信を通じ,ビジネスや教育現場等,オンラインコミュニケーションを必要とする場面で円滑な対話が図られ,生産性向上やイノベーション創出につながることを期待します.