日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
Print ISSN : 1344-4425
ISSN-L : 1344-4425
62 巻, 5 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
論文
  • 小俣 猛憲, 牛久 正幸, 新妻 直人
    2023 年 62 巻 5 号 p. 444-449
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル フリー

    プリンテッドエレクトロニクスは,電子回路やデバイスを印刷で製造する技術で,中でもインクジェット (inkjet, IJ) は緻密で正確な印刷が特長で注目を集めている.一方IJでは基材上でのインクの濡れ広がり等があり,通常の方法では50μm程度の線を形成するのが限界であった.今回はこの限界に挑戦し,新規なコーヒーリング現象を利用した10μm以下の新規細線形成技術を開発,またこの技術を応用して高精細なメタルメッシュを生成することに成功した.本稿ではその成果について紹介する.

  • 佐藤 圭将, 兒玉 学, 森﨑 広大, 倉本 信一, 加藤 弘一, 門永 雅史, 伏信 一慶, 平井 秀一郎
    2023 年 62 巻 5 号 p. 450-456
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル フリー

    インクジェットプリンティングの高性能化には,印刷時のインクの着弾・浸透・乾燥の挙動と印刷プロセスのさらなる最適化が有効である.本研究では,顔料インクの浸透挙動解明を目的に,X線CT (computed tomography) による非破壊浸透域計測を行った.ヨウ化セシウム水溶液にプロピレングリコールを混合させた液に,顔料粒子としての銀粒子を添加したインクを用いることで,インク浸透域及び顔料粒子堆積域のX線CT計測を可能とし,普通紙とコート層の厚さ及び層数の異なるコート紙への顔料インクの浸透挙動を観察した.特に顔料粒子の有無がインクの浸透に及ぼす影響を検討した.その結果,普通紙では顔料粒子の有無による浸透域の変化は観察されなかった.一方コート紙では,顔料粒子がコート層内に浸透し,コート層内の空隙を埋めることでインクの浸透が抑制され,水平方向及び垂直方向の浸透域が小さくなることが分かった.

Imaging Today
  • 大塚 泰正
    2023 年 62 巻 5 号 p. 458-465
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    本論文では2020年に急激に導入されたテレワークのメリットと課題について,主に筆者らが行った研究結果を中心にまとめた.2020年にテレワークを開始した労働者56名を対象に実施した面接調査から,テレワークの導入によりどのような仕事や私生活上の変化の経験が生じたのかについて明らかにした.次に,労働者923名を対象に調査を実施し,テレワークの導入により生じた仕事や私生活上の変化の経験とストレス反応,ポジティブアウトカムとの関連を検討した.最後に,テレワークと労働者の孤独・孤立について,一人暮らしと家族と同居している者に分けて,テレワークの導入により生じた仕事や私生活上の変化の経験とストレス反応との関連の結果を比較した.テレワークの最大の課題はコミュニケーションの質と量の低下であるが,ワーク・ライフ・バランスが取りやすくなることなどテレワークにはメリットも多数認められる.テレワークは今後も積極的に活用する価値が高い働き方であると思われる.

  • 初谷 純
    2023 年 62 巻 5 号 p. 466-470
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    新型コロナウイルス (COVID-19) の影響により,ビジネスや教育現場等のさまざまなシーンにおいて,ZoomやMicrosoft Teams,Cisco Webex等を使ったオンライン上でのコミュニケーションが一般的になりました.そんな中,ビジネスの現場においては,プライバシー保護やセキュリティ,通信負荷軽減の観点からビデオをOFFにしてコミュニケーションをとるシーンも多く見受けられます.そこで今回,男女14グループを対象に「ビデオON」「ビデオOFF」の2つのパターンで,対話における意見対立や合意形成にかかる時間,および意思決定の質について比較検証したところ,「ビデオOFF」では,メンバーの多様性を起因とする意見対立を避けるようになり,合意まで時間がかかり,結果,意思決定の質が悪化するという結論が得られました.今後は本研究成果の発信を通じ,ビジネスや教育現場等,オンラインコミュニケーションを必要とする場面で円滑な対話が図られ,生産性向上やイノベーション創出につながることを期待します.

  • 浜田 百合
    2023 年 62 巻 5 号 p. 471-478
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    新型コロナウイルスの感染拡大以降,オンライン会議が普及している.対面コミュニケーションとオンラインコミュニケーションを比較した従来研究は多いが,主にテキストベースの非同期オンラインコミュニケーションについて検討したものであり,同期オンラインコミュニケーションに関する研究は限られている.本稿では非同期型オンラインコミュニケーションと同期型オンラインコミュニケーションに関する既存研究を概説し,オンラインと対面における合意形成プロセスに関する筆者らの分析結果を紹介する.さらに本稿では,筆者らが提案するベイズモデリングおよびテキスト分析による合意形成プロセスの比較の結果を報告するとともに,オンラインコミュニケーション研究の今後の方向性について議論する.

  • 齋藤 敦子
    2023 年 62 巻 5 号 p. 479-486
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    2020年の新型コロナウイルスの大流行を契機に,オフィスワーカーはリアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドワークにシフトした.それから3年が経過し日常生活に戻っても,ハイブリッドワークを継続する企業は多い.ビジネスにおけるコミュニケーションには,会議や面談,アイデアを出すブレーンストーミングなど様々な種類があるが,コロナ以降,ワーカーは目的に合わせて場所やツールを選ぶのが一般的となった.一方,ハイブリッドワークにおけるコミュニケーションの課題として,「多様化するコミュニケーションの質の低下」「組織間での方針や使用ツールの違い」「ツールやアプリケーションを組み合わせた場の設定の難しさ」の3つが挙げられる.ハイブリッドワークはワーカーにとって利便性が高い反面,知識創造やモチベーション向上のために,コミュニケーションの質の低下を防ぐ必要がある.本稿はこれらの課題を整理し事例を参照しながら,今後のオフィス環境のあり方を展望する.

  • 南部 葵, 真木 響己
    2023 年 62 巻 5 号 p. 487-493
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    新型コロナウィルスの流行下でオンラインコミュニケーションの普及が急速に進展し,ビデオ会議やチャットツール,ソーシャルメディアなどのオンラインプラットフォームを活用したコミュニケーションの機会が大きく増大しました.更には,これまでに比べて遠隔地とのコミュニケーションが容易になり,グローバルな交流が促進されました.ポストコロナ時代においては,リモートワークや柔軟な働き方が一般化すると予想されます.オンラインコミュニケーションの普及と発展は,業務効率や働く環境を改善する一方で様々な面でのセキュリティリスクの増大も伴うことにも留意する必要があります.本報では,当社でのオンラインコミュニケーションツールの変革への取り組みと当社が提供するソリューションツールに関して解説します.

  • 杉本 孝一
    2023 年 62 巻 5 号 p. 494-501
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    ウィズコロナ時代におけるオンラインコミュニケーションの取り組みと今後の展望について解説していく.新型コロナウイルス感染症 (以下,コロナ) 拡大により,オンラインコミュニケーションが急速に普及したが,現在 (2023年) は行動制限が緩和され,対面活動が復活しつつある.しかし,オンラインコミュニケーションの利点である時間と空間の制約の少なさを活かし,会議や懇親会などでオンラインコミュニケーションの定常的な活用も進んでいる.このような状況の中で,我々はテレワークの現状やメリット,課題に再度注目し,検討を加えた.また,コニカミノルタジャパンでは,ウィズコロナ以前からウィズコロナ時代に向けて,拠点規模最適化やデジタルコンテンツの利用の加速などを通じて,働き方改革を進めてきた.さらに,インナーコミュニケーションやオンライン商談などの広報活動も進化している.リモートとリアルの組み合わせを活用したリアルタイムの障害対応やハイブリッドコミュニケーション,オンラインコミュニケーションの人財とインフラへの影響,企業文化醸成における可能性と課題についても詳しく解説していく.

  • 前田 将宏, 中見 至宏, 松本 宏隆
    2023 年 62 巻 5 号 p. 502-510
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    Covid-19が引き起こした「働く」「学び」の環境変化を確認しつつ,これら分散・リモート化に対する当社の取り組みについて解説する.まず,全世界で余儀なくされた在宅勤務についてグローバル視点で俯瞰,解説する.次に都市圏のみならず地方においても増加したフレキシブルオフィス・共用利用型オフィスに対する取り組みを述べる.更に,教育・在宅学習についても,日本と特徴ある国々の状況を確認,紹介する.アフターコロナの社会に対応した新たなサービスやソリューションが日本企業から生まれ,社会価値を生みだす一助になることを願う.

  • 太田 久嗣, 板倉 健介, 高橋 優作, 櫻井 功仁彦
    2023 年 62 巻 5 号 p. 511-514
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    2019に発生した新型コロナウイルス感染症 (Covid-19) は多くの国や地域でロックダウンを発動させ,半ば強制的に人々の働き方を変化させた.特にCovid-19を機に言葉としても浸透したWork from Home (WFH) と呼ばれるリモートワーク環境において,火急のプリントニーズを満たすための緊急避難的な購買行動 (特需) が発生した.ただし,この特需は一過性のトレンドであると承知しており,次に起こる事象を予測しながら,打ち手を模索する活動を続けてきた.当社が主戦場としている欧米環境において,リモートデバイスマネジメントと情報セキュリティの2点をリモートワーク環境に必要とされる要件と見立てており,それらについての取り組みを紹介する.

  • 鈴木 友規, 長能 卓哉, 泉谷 一磨, 齋藤 涼, 萩田 健太郎
    2023 年 62 巻 5 号 p. 515-523
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    朝礼に代表されるショートミーティングは,組織活動におけるコミュニケーション手段として広く実施されている.朝礼の効果として,組織のメンバー間の情報共有やリーダーがメンバーの状態を把握できる点が挙げられる.しかし,リモートワークの導入が増える中,オンラインで実施する朝礼では,従来に比べメンバーの状態を捉えることが難しくなっている.この様な背景の中で,オンラインで実施される朝礼においてもメンバーがチームの状態を把握でき,特にチームのリーダーがメンバーの変化に気づける支援ソリューションを開発した.本ソリューションは,オンライン朝礼中の映像と音声のみを利用し,うなずきや笑顔,言語的特徴といったメンバーの振る舞いを解析し,チームとメンバーの状態を可視化すると共に,より良い状態へのアドバイスも提示しリーダーに対する行動変容を促す仕組みを持つ.本稿では,このソリューションの開発経緯と技術的特徴,実証実験の評価結果を紹介する.

  • 川野 雅央, 永田 義典, 渡辺 雄貴
    2023 年 62 巻 5 号 p. 524-528
    発行日: 2023/10/10
    公開日: 2023/10/10
    ジャーナル 認証あり

    2019年に端を発するコロナ禍により働き方が大きく変化し,オフィスワークが主体の業種を中心に在宅勤務を主とするリモートワークが一気に拡大した.打ち合わせは従来の会議室に集まるスタイルから企業内SNSやWeb会議システムを活用するスタイルに変化し,稟議書の承認は紙への捺印からワークフローシステム上での電子承認に変化した.このような変化は複合機メーカーのビジネス戦略に大きな影響を及ぼしており,本稿ではビジネス戦略の一例として当社での事例を紹介する.

Imaging Highlight
教育講座
feedback
Top