日本画像学会誌
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論文
DNA/Ru(bpy)32+複合膜を用いた超高速電気化学発光素子における電解液組成による発光強度・素子寿命向上
小澤 竜輝仲谷 洋輝中村 一希小林 範久
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2024 年 63 巻 2 号 p. 148-155

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抄録

電気化学発光 (electrochemiluminescence;ECL) は電気エネルギーによって生成した材料の励起状態から得られる発光現象である.このECLを素子に展開した場合,構造がシンプルなため軽量かつフレキシブルな発光デバイスへの応用が期待できる.しかし,応答速度の遅さやデバイスとしての寿命の短さが課題となっており,未だECLの発光デバイスへの応用は実現されていない.我々はこれまでに,橙色発光を示すRu(bpy)32+をDNAとの静電的相互作用を利用して電極上に固定化したDNA/Ru(bpy)32+複合膜電極を用いることで,高速応答を示す交流駆動型ECL素子を実現した.本研究では,このDNA/Ru(bpy)32+複合膜を用いたECL素子の電解液にRu(bpy)32+を導入することで,超高速応答ECLのさらなる特性向上を目指した.その結果,複合膜上に形成される凝集部のRu(bpy)32+の電解液への溶解抑制に起因してECL寿命が大幅に向上するとともに,凝集部における反応電荷量の増加によりECL強度も大幅に向上することが明らかとなった.

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© 2024 一般社団法人 日本画像学会
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