2024 年 63 巻 2 号 p. 157-167
孤立小型電子機器やセンサーネットワークの電源としてエナジーハーベスティング技術の必要性が高まっている.人体や人間の活動に伴って放出される熱は有望なエネルギー源の一つであり,熱電変換技術が注目を集めている.このとき,設置の容易さや使用者が冷たさ,硬さなどの違和感を覚えないという「使い勝手」を重視し,常在する熱流を増減させることなく,必要な電力を許されるコストで生み出せるかどうかという尺度が重要となる.本稿では,このような背景において著者らが首尾一貫したポリシーで研究を続けてきた布状熱電変換素子に関するこれまでの進歩を概観することにより,ウェアラブル熱電変換素子があるべき方向性の一つを提案し,また,類似の研究を行っている方々のヒントとなることを目的とする.