日本画像学会誌
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Advanced Technology
赤外光エネルギー利用の最近の展開―透明な太陽電池の実現を目指して―
坂本 雅典
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2024 年 63 巻 2 号 p. 200-205

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抄録

人類,動植物など地球上に生きる生命の全てが太陽から降り注ぐエネルギーの恩恵を受けている.しかしながら,太陽光のうち赤外域の光を捕集し,有用なエネルギーに変換することは12億年以上の光利用の歴史をもつ植物でさえ成し遂げていない難題であった.

著者らは赤外光を吸収する局在表面プラズモン共鳴 (LSPR, localized surface plasmon resonance) を示すヘビードープ半導体ナノ粒子を利用する事により,現在までに報告されている赤外応答光触媒を上回る効率で熱線を化学エネルギーに変換することに成功した.

赤外線のエネルギー変換には,太陽光のエネルギー利用以外にも利点がある.人間の目には無色透明である赤外線を選択的に吸収する赤外捕集材を用いる事で窓ガラスのような無色透明の太陽電池や目に見えない不可視の赤外センサーといったSF小説に出てくるようなデバイスの開発が可能である.本解説では,熱線をエネルギーに変える機構とそれを応用したデバイス開発例の紹介を行う.

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© 2024 一般社団法人 日本画像学会
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