2026 年 65 巻 1 号 p. 18-23
インクジェット技術などを出力に用いたデジタルテキスタイルは,環境負荷低減の観点から持続可能な社会の実現に向けて注目を集めている.しかしながら,デジタル技術が本来有する多品種少量生産やトレンドへの迅速な対応といった特性は,必ずしも実社会に十分活用されておらず,サプライチェーンやビジネスモデルの抜本的変革には繋がっていないのが現状である.
さらに,こうした課題への対応は,バタフライ・ダイアグラムにおける「好ましい循環」,すなわちデジタルテキスタイルにおける「長期にわたり着用可能なベーシックデザイン」の追求と必ずしも両立しない可能性も指摘されている.
本稿では,これらの課題対応策の1つとしてテキスタイルのトレーサビリティを取り上げ,これを手掛かりに循環型経済を含む持続可能な社会の実現に向けたデジタルテキスタイルの可能性と課題について検討する.