接触媒質は,非破壊検査の1つである超音波検査に不可欠である.プローブと試験片の間の空気隙間を埋めて音の伝播を可能にするもので,接触媒質には,主にグリースやオイルなどの液体が用いられる.そのため,通常は繰り返しの塗布が必要であり,試験片は接触媒質で汚染され,使用後の清掃が必要となる.このことが,超音波検査の自動化を難しくし,物理的アクセスが制限された場所の検査が困難となっている.ここでは,液体塗布を不要とする「滑るドライ接触媒質」を紹介する.「滑るドライ接触媒質」は,柔らかいシート層と滑り材から構成されるもので,探触子に荷重が加わると,柔らかいシートが滑り材から突出して試験片表面に密着し,超音波が伝搬するようになる.荷重が解除されると,柔らかいシートは荷重印加前の状態に戻り,「滑るドライ接触媒質」搭載触子は試験片の表面上を自由に滑るようになる.このように,「滑るドライ接触媒質」を搭載した探触子は,液体の接触媒質が不要であり,超音波検査の自動化やアクセスが制限された場所の検査が可能となる.