抄録
a-Si:H感光体の残像について,現象面及びキャリアの移動度及び寿命等の物性面から検討した.その結果,正帯電プロセスで使用した場合の残像は,少数キャリアである電子が感光体内に残留し,次の帯電工程で感光体にかける電界により表面に移動し,表面の帯電電荷を中和するために発生することが明確になった.特に,残像はa-Si:H感光体を次のような条件で使用した時に発生しやすい.(1)高速印写プロセスに使った場合,(2)露光に長波長の光源を用いた場合,(3)ホウ素の添加により電子の移動度が10-2 cm2/V・s以下に低下した感光体を使う場合. 残像の発生は,使用する光源の選択及びa-Si:Hに添加するホウ素の量を制御することにより抑制することができる.